2026年4月8日

フリーランスが発注書をもらうべき理由と正しいもらい方

発注書がないとどんなリスクがあるのか、フリーランス新法の書面明示義務と合わせて解説。もらい方の手順・依頼文例・チェックリストも収録した実務ガイドです。

発注書をもらっていないフリーランスが多すぎる

「クライアントから発注書をもらっていますか?」と聞かれたとき、「いや、メールで依頼が来るだけです」と答えるフリーランスは少なくありません。口頭やチャットで「お願いします」と言われ、そのまま作業を始めてしまうケースです。

しかし発注書がない状態で仕事を進めることは、フリーランスにとって大きなリスクを抱えることになります。この記事では、発注書をもらうべき理由、もらい方の具体的な手順、そして2024年11月に施行されたフリーランス新法との関係について解説します。

発注書とは何か——見積書・契約書との違い

まず「発注書」「見積書」「契約書」の違いを整理しておきましょう。

  • 見積書:フリーランス(受注者)が作成し、クライアントに費用・作業内容を提示する書類
  • 発注書(注文書):クライアント(発注者)が作成し、正式に仕事を依頼する意思を示す書類
  • 契約書:双方が署名・捺印して合意を確定させる書類。最も法的拘束力が高い

発注書は「クライアントが出す書類」であり、フリーランスが作成するものではありません。見積書を提出したあと、クライアントが「この内容で発注します」と意思表示するために発行します。書類全体の流れについては見積書から請求書まで|フリーランスの書類フロー完全ガイドも参考にしてください。

発注書がないと起きる5つのリスク

「発注書がなくても仕事はできる」と思う方もいるかもしれません。しかし実際に発注書なしで仕事を進めると、以下のようなトラブルが起きやすくなります。

  • ① 報酬未払いのリスク:「そんな金額では発注していない」と言われたとき、発注書がなければ合意金額を証明できない
  • ② スコープクリープ(作業範囲の拡大):「それも含めてお願いしていたつもりです」という言い逃れを許してしまう
  • ③ 納期トラブル:「そんなに時間がかかるとは聞いていない」という認識のズレが生じる
  • ④ キャンセル時の費用回収困難:途中でキャンセルされたときに、着手費用やキャンセル料を請求する根拠がなくなる
  • ⑤ 税務上の証拠不足:売上の証拠として発注書があると、税務調査時に安心できる

特に多いのが①と②です。メールやチャットのやりとりでも合意の証拠になることはありますが、発注書という正式な書面があるほうが、いざというときの交渉力がまったく違います。

フリーランス新法で「書面明示」が義務化された

2024年11月1日に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)により、クライアント(発注事業者)は取引条件を書面または電磁的記録で明示する義務を負うことになりました。

明示が義務付けられた項目は以下のとおりです。

  • 業務の内容
  • 報酬の額
  • 支払期日
  • 業務委託をする事業者の氏名・名称・住所
  • 業務委託の期日(期間)
  • 成果物の内容(成果物の引渡しがある場合)

これはまさに発注書に記載されるべき内容です。つまりフリーランス新法のもとでは、クライアントは発注書(または同等の書面)を交付することが法的に求められているということです。「書面をください」と求めることは、フリーランスの正当な権利であり、法律に基づいたリクエストです。

発注書をもらうための正しいステップ

では実際に発注書をどうやってもらえばよいのか。以下の3ステップで対応しましょう。

  • ステップ1:見積書を提出し、発注確認のタイミングで依頼する
    見積書をクライアントに送ったあと、「ご発注いただける場合は発注書をいただけますでしょうか」と自然な流れで依頼します。このタイミングが最もスムーズです
  • ステップ2:発注書のフォーマットを準備しておく
    クライアントによっては「発注書の書き方がわからない」「社内にフォーマットがない」というケースもあります。こちらから雛形を提供できると話が早まります
  • ステップ3:発注書を確認してから作業を開始する
    発注書を受領するまで作業を開始しない、という姿勢を貫きましょう。「先に進めてもらって構いません」と言われても、「確認後に着手します」と伝えることが大切です

発注書の依頼メール文例

クライアントへの発注書依頼メールの文例を2パターン紹介します。状況に応じて使い分けてください。

【パターンA:初めての取引先向け・丁寧な依頼】

件名:発注書のご送付のお願い(〇〇案件)

〇〇様、いつもお世話になっております。見積書をご確認いただきありがとうございます。ご発注いただける場合、恐れ入りますが発注書をご発行いただけますでしょうか。作業内容・金額・納期等をご記載いただければ幸いです。フォーマットがお手元にない場合は、こちらからひな形をお送りすることもできます。ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

【パターンB:継続取引先向け・簡潔な依頼】

件名:今月分の発注書について(〇〇案件)

〇〇様、お疲れさまです。今月の作業についても発注書をいただけますか。先月同様の内容・金額で問題なければ、その旨ご連絡いただければ確認後に着手します。よろしくお願いいたします。

発注書に記載されるべき項目チェックリスト

受け取った発注書を確認するとき、以下の項目が揃っているかチェックしましょう。

  • 発注書の発行日・発注番号
  • クライアントの会社名・担当者名・住所
  • フリーランス(受注者)の氏名
  • 業務内容・作業スコープの詳細
  • 報酬金額(税込/税別の明示)
  • 納期・業務期間
  • 支払期日・支払方法
  • 発注者の署名または捺印(電子署名でも可)

特に「業務スコープ」と「支払期日」は見落とされやすい項目です。スコープが曖昧だと後から「それも含めてのお願いでした」というトラブルに発展しやすく、支払期日がなければ入金が遅れても催促しにくくなります。入金の遅れが起きてしまったときの対処法については入金が遅れたときの対処法|フリーランス新法で変わった催促の権利をご覧ください。

発注書がもらえないときの代替手段

クライアントによっては「発注書を発行する文化がない」「社内のフロー的に難しい」と言われることもあります。その場合の代替手段として以下を活用しましょう。

  • メール・チャットの「発注確認」を保存する:「ご提示の内容でお願いします」という文言があれば合意の証拠になります
  • 業務委託契約書を締結する:発注書の代わりに、より法的効力の高い契約書を交わす方法です。請負契約と準委任契約の違いを5分で理解するも参考にしてください
  • 自分で注文請書(受注書)を作成して送る:「ご発注内容を以下のとおり確認しました」という書類をこちらから送り、クライアントに返信してもらう方法です

いずれの方法でも「合意内容を書面で残す」という目的は同じです。書面がないまま作業を進めることだけは避けましょう。

発注書・見積書・請求書をまとめて管理するには

発注書をもらったら、対応する見積書・請求書と一緒に管理しておくことが大切です。書類がバラバラだと、「この案件の発注書どこだっけ?」「支払い確認ができない」といった状況になりがちです。

フリーランス向け書類管理ツールフリパレでは、見積書・請求書をかんたんに作成・管理できます。見積書をワンクリックで請求書に変換する機能も備えており、案件ごとの書類を一元管理できます。発注書も一緒に保管しておけば、書類フローを丸ごとすっきりさせられます。無料から使えますので、ぜひ試してみてください。

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