2026年4月8日

入金が遅れたときの対処法|フリーランス新法で変わった催促の権利

フリーランス新法の60日ルールを解説し、初回催促から法的手段まで段階的な対処法を紹介。催促メール文例2パターン+チェックリスト付きの実務ガイドです。

「入金されていない」——フリーランスが最も恐れるトラブル

納品が完了して請求書を送ったのに、支払期日を過ぎても入金がない。このような経験をしたフリーランスは決して少なくありません。公正取引委員会の調査でも、フリーランスの報酬未払い・遅延は長年にわたって問題視されてきました。

しかし2024年11月に施行されたフリーランス新法により、フリーランスの立場は大きく強化されました。入金が遅れたときに「どう動くべきか」を段階的に解説します。催促メールの文例と、法的手段に進む前のチェックリストも収録しています。

フリーランス新法の「60日ルール」とは

フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が定める重要なルールの一つが、「成果物の受領後60日以内の支払い」義務です。

これは発注者(クライアント)側の義務であり、フリーランスに成果物や役務を納品させた後、60日を超えて支払いを行うことは法律違反になります。

  • 対象:事業者がフリーランス(特定受託事業者)に業務委託をした場合
  • 上限:成果物受領日または役務提供完了日から60日以内
  • 違反した場合:公正取引委員会または中小企業庁による指導・勧告・公表の対象になる

重要なのは、「60日以内」は上限であって、60日後でも支払えばいい、という意味ではありません。契約書や請求書に支払期日が定められている場合は、その期日を守ることが義務です。60日ルールは「いつまでに払わなければならないか」の最大ラインを法律で定めたものです。

書類フロー全体については見積書から請求書まで|フリーランスの書類フロー完全ガイドも参考にしてください。

入金遅れが起きやすい原因と事前予防策

入金トラブルが起きやすいケースには、いくつかの共通したパターンがあります。

  • 請求書に支払期日を書いていなかった:期日がないと「いつでもいい」と思われやすい
  • 発注書・契約書がなく、合意内容が曖昧だった:「発注したつもりがない」「金額に納得していなかった」という言い逃れを許してしまう
  • クライアントの社内処理を把握していなかった:「月末締め翌々月払い」というクライアントのサイクルを理解していなかった
  • 初回取引でクライアントの支払い能力を確認しなかった:資金繰りの悪い企業との取引リスクを見落とした

事前予防として最も効果的なのは、請求書に具体的な支払期日を明記し、発注書または契約書を締結してから作業を開始することです。発注書の重要性についてはフリーランスが発注書をもらうべき理由と正しいもらい方をご覧ください。

段階的な催促の流れ:初回から法的手段まで

入金が遅れたときは、感情的にならず段階的に対応することが重要です。以下の4段階で進めましょう。

  • 第1段階:初回の確認連絡(支払期日の翌日〜3日以内)
    まずは「行き違いがあった可能性」を念頭に、穏やかに確認します。「振込の確認ができておりません。お手違いがございましたでしょうか」という確認メールから始めましょう
  • 第2段階:督促連絡(初回連絡から1週間後)
    返信がない、または「確認します」と言ったきり進まない場合は、より明確に督促します。期日を改めて示し、入金の意思があるかを確認します
  • 第3段階:警告連絡(督促から2週間後)
    「フリーランス新法に基づき、法的手続きも視野に入れています」という旨を伝えます。この段階ではメールだけでなく、内容証明郵便の検討も始めます
  • 第4段階:法的手段(警告後も解決しない場合)
    公正取引委員会・中小企業庁への申告、少額訴訟、内容証明郵便の送付、支払督促申立てなどの法的手段に進みます。フリーランス・トラブル110番(厚生労働省)への相談も活用できます

催促メール文例:パターン別に使えるテンプレート

【パターンA:初回確認メール(穏やかなトーン)】

件名:〇〇案件のご請求について(確認)

〇〇様、お世話になっております。先日ご請求書をお送りした〇〇案件につきまして、本日〇月〇日が支払期日となっておりましたが、お振込の確認ができておりません。お手違いやシステムの問題がございましたでしょうか。ご確認いただけますと幸いです。なお、請求書の再送が必要な場合はお申し付けください。よろしくお願いいたします。

【パターンB:督促メール(明確なトーン)】

件名:〇〇案件のご請求について(督促)

〇〇様、お世話になっております。〇月〇日にご連絡差し上げました〇〇案件の請求書(請求金額:〇〇円、支払期日:〇月〇日)について、本日時点でお振込の確認がとれておりません。〇月〇日までにお振込をいただけますでしょうか。引き続きご対応いただけない場合は、フリーランス新法に基づく行政機関への相談も検討せざるを得ない状況です。早急のご対応をお願いいたします。

フリーランス新法に基づく相談窓口

入金トラブルが解決しない場合は、以下の窓口に相談できます。

  • 公正取引委員会:フリーランス新法違反の申告先。受領後60日超の支払い遅延などを申告できる
  • 中小企業庁(フリーランス・トラブル110番):フリーランスの取引トラブル相談窓口。弁護士への無料相談も利用できる
  • 都道府県労働局:フリーランス新法の施行を担う機関の一つ。ハラスメントや不当な契約解除も相談可能
  • 法テラス:資力が乏しい場合に弁護士費用を立替え払いしてもらえる制度

「お金のトラブルで相談するのは恥ずかしい」と感じる必要はありません。フリーランス新法はまさにこうした問題を解消するために作られた法律です。正当な権利として活用してください。

未払いリスクを減らすための見積書・請求書チェックリスト

トラブルは予防が最も効果的です。以下のチェックリストを毎回の取引前に確認しましょう。

  • 発注書または契約書を締結してから作業を開始しているか
  • 請求書に具体的な支払期日(〇月〇日)を明記しているか
  • 請求書に振込先口座情報を正確に記載しているか
  • 高額案件は着手金を先にもらう取り決めをしているか
  • 初回取引では支払実績のないクライアントのリスクを評価したか
  • 請求書の控えを自分でも保管しているか

相見積もりで選ばれる提案力と支払い管理を両立する

入金管理は、受注力と同じくらい重要なフリーランスのスキルです。どれだけ良い仕事をしても、代金を回収できなければビジネスとして成立しません。また相見積もりで選ばれる提案力についてはフリーランスの相見積もり対策|負けない見積書の書き方と提案の型をあわせてご覧ください。

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