2026年4月7日
請負契約と準委任契約の違いを5分で理解する|フリーランスが結ぶ契約書の選び方
請負と準委任の違いをフリーランス目線で解説。どちらを選ぶべきか、契約書に書くべき内容、間違えると起きるトラブルまでわかりやすくまとめました。
業務委託契約の2種類——請負と準委任、何が違うの?
フリーランスとして仕事を受けるとき、クライアントから「業務委託契約を結びましょう」と言われることがあります。しかし「業務委託」はあくまでも俗称で、法律上は大きく2種類に分かれます。それが請負契約と準委任契約です。
この2つの違いを理解していないと、「完成させる義務があるとは思っていなかった」「修正費用を請求できると思っていたのに」といったトラブルに発展することがあります。この記事では、請負と準委任の違いをフリーランス目線でわかりやすく解説します。
請負契約とは——「成果物の完成」に責任を負う契約
請負契約は、仕事の「完成」を約束する契約です。民法632条に規定されており、受注者(フリーランス)は「成果物を完成させること」を義務として負います。
請負契約の主な特徴は以下のとおりです。
- 成果物の完成が義務:完成させるまで報酬を受け取れない(着手金を除く)
- 瑕疵担保責任(契約不適合責任)がある:成果物に欠陥があれば、無償修正・損害賠償を求められることがある
- 指揮命令関係がない:どのように作業するかはフリーランス側の裁量に任される
- 再委託が可能:契約書で禁止されていなければ、外注に出すことも可能
典型的な請負契約の例としては、Webサイトの制作・アプリ開発・デザイン制作・動画編集などが挙げられます。「〇〇というWebサイトを完成させる」という契約なら請負です。
準委任契約とは——「業務の遂行」に責任を負う契約
準委任契約は、一定の業務を誠実に遂行することを約束する契約です。民法656条に規定されており、受注者(フリーランス)は「善管注意義務をもって業務を行うこと」を義務として負います。
準委任契約の主な特徴は以下のとおりです。
- 成果物の完成は義務ではない:業務を誠実に行えば、結果が出なくても報酬を受け取れる
- 瑕疵担保責任(原則)がない:成果物型(民法648条の2)を採用しない限り、成果の欠陥責任を負わない
- 指揮命令関係がない:請負と同じく、業務の進め方はフリーランス側の裁量
- 報告義務がある:業務の進捗状況をクライアントに報告する義務がある(民法645条準用)
典型的な準委任契約の例としては、コンサルティング・月額顧問・運用支援・エンジニアのSES(システムエンジニアリングサービス)などが挙げられます。「毎月〇時間、マーケティング支援業務を行う」という契約なら準委任です。
請負 vs 準委任:どちらを選ぶべきか
どちらの契約形態が適しているかは、業務の性質によって決まります。以下の表を参考にしてください。
- 請負が向いているケース:成果物(Webサイト・アプリ・記事・デザインなど)が明確に定義できる。納期と完成形が決まっている。プロジェクト型の一発発注
- 準委任が向いているケース:成果よりも業務プロセス(調査・運用・相談対応など)がメイン。月次・時間単位で報酬が発生する。成果が不確実な探索的な業務
よくあるのは「成果物を作るのに準委任を使ってしまった」「運用業務なのに請負を使ってしまった」というミスマッチです。たとえば、新機能の開発を請負で受けたのに仕様変更が多発すると、フリーランス側が追加コスト・残業を丸ごと負担することになりかねません。
業務の性質が「成果物型」か「作業遂行型」かを事前にクライアントとすり合わせてから、契約の種類を決めましょう。
契約書に必ず書くべき項目
請負・準委任どちらの場合も、契約書には以下の項目を盛り込むことが重要です。
- 契約の種類の明記:「本契約は請負契約である」「本契約は準委任契約である」と明記する
- 業務内容・スコープ:何をするか、何は含まないかを具体的に書く
- 報酬額と支払い条件:金額・支払時期・支払方法を明記する
- 納期・契約期間:いつまでに、またはいつからいつまで
- 成果物の定義(請負の場合):どのような状態が「完成」か
- 修正・変更の取り扱い:修正回数の上限・追加費用の発生条件
- 著作権・知的財産権の帰属:納品後の権利がどちらに移るか
- 秘密保持(NDA):クライアントの情報を第三者に開示しない旨
- 契約解除の条件:どういった場合に契約を解除できるか
- 損害賠償の上限:賠償責任の範囲を限定する条項
特に修正・変更の取り扱いと著作権の帰属は、後からトラブルになりやすい項目です。契約前にクライアントとしっかりすり合わせ、書面に残しておくことが大切です。
フリーランス新法が契約書に与える影響
2024年11月1日に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)により、クライアント(発注事業者)は契約条件を書面または電磁的方法で明示することが義務付けられました。
特にフリーランスとして意識すべきポイントは次のとおりです。
- 業務内容・報酬・支払期日の書面明示が義務化された(発注者側の義務)
- 成果物の受領後60日以内に報酬を支払うことが義務化された
- ハラスメント対策・育児介護への配慮義務が発注者に課せられた
- 募集情報の的確表示(求人詐欺の防止)義務が設けられた
フリーランス新法は発注者側の義務を定めたものですが、フリーランス自身も「書面なしでは始めない」という姿勢を持つことが自衛策になります。クライアントが書面を用意しない場合は、自分から契約書案を提示する行動が重要です。
業務委託契約書の「個人」としての書き方のポイント
フリーランス(個人事業主)として契約書を作成する場合、法人と異なるいくつかの注意点があります。
- 氏名・屋号:法人格はないため、「個人」としての氏名で契約する。屋号を持つ場合は「屋号 代表 氏名」のように表記する
- 住所:自宅住所が事業所住所になる場合が多い。バーチャルオフィスを使っている場合はその住所で可
- 印鑑:個人の実印または認印を使用する。電子契約の場合は電子署名で代替できる
- インボイス登録番号:適格請求書発行事業者の場合は登録番号を記載しておくとスムーズ
契約書は難しく思われがちですが、テンプレートを使って自分でカスタマイズすることも十分可能です。ポイントは「業務内容・報酬・期間・権利」の4点をしっかり決めておくことです。
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